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10.19.2014

今こそ「脱原発」の声を!



福島第1原発の事故より3年半を経過し、その事後処理の進行、いやそれがなかなか進んでいないことや子供達の甲状腺異常(ガンも含めて)もそれ以外の様々な健康被害が出ているにもかかわらず、政府、報道機関があまり報道しないために、福島事故の悲惨さ、重大さなどを人々が忘れがちになってきているようである。そして、原発再稼働を進める政府とその出先機関(規制委員)は、鹿児島県の川内原発を手始めに動かそうとしている。その規制委員の委員長は自ら「我々のやっていることは、安全を保障することではなく、規制基準(そのものも不十分)に合格したかどうかのみの判定である」と公言している。その上、今回の御岳山の噴火の予測不可能さに象徴されるように、日本およびその近辺の地殻変動が活発になってきていて、複雑な構造を持つ原発、しかも多くは老朽化している原発の安全性は、ますます減少している。
しかも、福島原発は、3つの原子炉が完全にメルトダウンしたという、人類がいまだ経験したことのない過酷事故であり、融けてしまった燃料棒をどうして取り出し、どう処理するか、誰にもわからない状況である。その上、冷却水はどんどん汚染されて溢れ、その行方は大きな疑問符。汚染された環境の除染による汚染物の処理は?
高汚染物である燃料棒の再処理工場は、いまだに充分に稼働していない。そのため、使用済み燃料棒は、山積みになっている。現在これ以上処理できないので、 使用済み燃料棒は、各原発が抱えこんでいる。
これでも、これ以上原発を動かして、事故の危険を増やし、いまだ完全な処理法がわかっていない廃棄物を増やそうというのであろうか。しかも、その廃棄物や、事故によって環境に放り出された放射性物質は、低線量でも生命にとっては危険なものである(落合「放射能と人体」(講談社)参照)。原子力産業側とそれに支配されている権力側は、いわゆる「100 mSv以下は健康に影響なし」というまちがった放射能安全神話を人々に植え付けて、危険きわまりない放射能との共生を人々に強いている。
経済的に原発は有利か。この神話もすでに充分に否定されている。現在主張されている唯一の利点は、原子力発電は、地球温暖化の原因とされる2酸化炭素を出さないと云うことである。これも充分には検証はされていない。すなわち、核分裂によって大量の熱を出し、その熱を利用して発電する。この間2酸化炭素は出ない。それは事実である。しかし、原発運営の全過程に必要なエネルギーを考慮に入れ、数世紀にわたる廃棄物処理・保管に必要なエネルギーまでも考慮にいれ、そのエネルギ—を2酸化炭素発生に換算するならば、2酸化炭素の発生量が化石燃料による発電と比較して、低いとはとても云えないであろう。その上に、原発の発電効率は低く(約3分の1)、発生した熱の3分の2は環境に放出されているのである。すなわち、原発は直接的に温暖化に寄与しているのである。これは原発周辺の海の生物の変化で充分に証明されている。
50基ある原発はこの1年間、1基も稼働しなかった。しかるに、日本の人々が節電に勤めたとはいえ、電力不足はなかったのである。電力会社が再稼働に固執するのは、稼働しない原発は、負の遺産になるからである。いずれにしても原発の稼働期間は、40年ほどにすぎないので、現在多くの原発は、廃炉処分にすべき段階にあるし、電力会社は、その準備をしてあるはずである。というわけで、廃炉処分は是非ともやるべきことなのである。それができないのは、電力会社の責任回避なのである。
現在、鹿児島の川内原発の再稼働が議論されていて、避難計画の不十分さなどが問題になっているが、非難しなければならない状況を想定しているわけである。ということは事故の確率がかなりあることを前提にしている。実際、安全性は、現在の規制基準では保障できないことは委員長自身がみとめていることである。しかも、今電力が不足しているわけでもないのに、なぜ再稼働なのか。電力会社と地元自治体の見かけ上の経済的安泰のみが唯一の理由であるが、これは、国民からの税に依存している。その国民の健康で安全な生活の権利を踏みにじってもよいのであろうか。
今こそ、原発の不必要性とそれが及ぼす国民の健康被害をこれ以上増やさないために、川内原発再稼働反対、日本の原発ゼロの早急な実現に向けて、日本国民は声を上げなければならない。(日刊ベリタからの転載)

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